GORO
- 2017年10月2日
- 読了時間: 4分

秋のイリノイ・ぶらり旅～その１“リンカーン論戦の街”「Ottawa（オタワ）」

アメリカの中でも、中西部は一種”異色”なエリア。観光客がどっと押し寄せるようなメジャーなところでもなく、ましてや日本人からみると地味～な場所。旅行会社さえもよく中西部のことを知らないからどうやってお金になるツアーを組んでいいのかわからない、っていうのが本当のところなんだろうけどね。

でも、だからこそ中西部は面白いんだよ！

先住民（ネイティブアメリカン）の歴史、ヨーロッパ大陸から夢を抱いてアメリカに渡ってきた移民の苦悩の歴史、西部開拓移民と先住民との闘い、領地を巡る国同士の戦い・・・そんなアメリカの歴史が凝縮されたところ。だから、中西部はどんな小さな街にも「ストーリー」があるんだね。

つまり、中西部を知ることで「本当のアメリカ」が見えてくる、そんなところなんだ。

シカゴのような大都会は、そのなかの小さな点にしかすぎない。一歩都会を離れると、そこにあるのは無限に広がる大地、また大地。そんな中を地平線に向かってドライブするのが僕は大好きなんや。

特に好きなのは、夏から秋にうつりゆくこの季節。山々が徐々に赤く染まり始め、朝夕に吹く風が肌寒く感じられる初秋は旅に出るのには最高。

てなわけで、9月最後の週末、紅葉にはまだちょっと早いけれど待ちきれずに気ままな旅に飛び出した。

今回目的にしていた唯一の場所は、「Starved Rock State Park（スターブドロック州立公園）」。我が家からは車でシカゴと正反対の方向に約1時間ちょっと。イリノイ州の北部、シカゴからは西南に約100マイル（160Km)の位置にある、イリノイ川沿岸に広がる壮大な自然公園。この公園内には何千年もの時間をかけて自然が作り上げたキャニオン（峡谷）が点在していて、それらを結ぶ多くのハイキングコースも人気の場所。

さて、目的地に行く道すがら行ったことのない街に立ち寄ってみるのはいつものこと。

そこで、Starved Rock州立公園近くの町、Ottawa（オタワ）をちょっとぶらぶらしてみることにした。

なんだか歴史を感じさせる面白そうな匂いのする町じゃぁないか。街のあちらこちらにMural（壁画）があって、どれもとてもポリティカル。特にリンカーンが多く描かれているから、きっとリンカーンとこの町にはふかいつながりがあるんだね。

そんなことを思いつつ公園に差しかかったので入ってみると・・・

町のどまんなかにある、その名も「リンカーン・スクウェア」

広場の案内板によると、1858年8月21日イリノイ州の上院議員の座を争って共和党のリンカーンと、現職民主党のダグラス（Stephen A. Douglas)との有名な第１回ディベート（論争）がここで行われたんだそうだ。この論争は「リンカーン・ダグラス論争」と呼ばれていて、ここオタワを皮きりに計７回行われたんやって。

こんな小さな町で、歴史的なディベートが行われたなんてね。だから町のあちこちにそのときの様子なんかが描かれていたというわけや。たまたま立ち寄ったオタワで、またひとつアメリカの歴史を学んじまったぜ。